新竹専売局

*新竹専売局
*市指定遺跡
*新竹市東門街59号
 
歴史と変遷
  新竹菸(タバコ)酒公売局の建物は日本統治時代には「台湾総督府専売局新竹支局」と呼ばれていました。その前身は1922(大正11)年4月に設置された「台北専売支局新竹出張所」。当時、臨時事務所が新竹州庁舎内にあり、また市内東門の鄭雅詩が経営する醸造所と北門の林見舜経営の醸造所の二ヶ所を借りて醸造販売直営事業を行っていました。その後事務所を北門黄再寿醸造所内に移し、同年10月には食塩の生産販売事業を開始。1924(大正13)年12月には名を「台湾総督府専売局新竹出張所」に改め、タバコの販売事業も手掛けることとなったのです。業務が日に日に増え、事務所が完全に手狭になったことから、1934(昭和9)年に新事務庁舎を建設し翌年竣工。1936年5月、事務所は現在の新庁舎へ移り同年6月には支局へと昇格し新竹地区のタバコと酒直営センターとなったのです。1947年以降台湾煙酒公売局新竹分局と名を改め、食塩事業からは手を引き酒とタバコのみの販売に切り替えたため名実共の菸酒専売局となりました。
 
建物の特色
  新竹専売局庁舎は1936(昭和11)年に竣工しました。横ラインをデザインの主軸とした建築物で現代建築の精神を汲んでいます。設計者は総督府専売局の建築技師であった梅沢捨次郎。彼は日本の石川県生まれで、日本私立工手学校建築科を卒業しています。
 
  1911(明治44)年に雇われる形で台湾総督府の土木局営繕課を担当することになり、1917(大正6)年に技手に昇進。1934年7月には総督府専売局庶務課建築技師となりこの建築設計を行っています。梅沢捨次郎は当時モダニズムの影響を受けていたためその作品は横ラインを強調し不要な装飾を排除した物でした。正面の窓は長方形が主で、そこに横ラインの洗い出し仕上げの庇・窓敷居を配しています。当時としてはかなり斬新なデザインだったと言えます。
 
  庁舎の建物には事務室と倉庫が入っています。庁舎は3階建ての強化レンガ造りで、1階には主に玄関ホール・待合室・大ホール・支局長室があり、2階には事務室・書類倉庫・食堂など、3階は会議室となっています。建物全体の入口は角にあり建物の高さは中央に向かって段々と高くなってゆく構造です。入口を中央塔にして入口であることを強調し、建物の外壁にはタイルを貼って独特の風格を演出しています。
来場者数:15574 人は、日付:2016-07-05